離婚にまつわる問題と知識

離婚によるうつ病と障害年金

離婚問題は誰もがストレスを抱えます。

子どもの親権の問題、モラハラ、DV、離婚問題があること自体のストレス。

うつ病にかかってしまう方も多くいらっしゃいます。

ひどい場合には、仕事自体を続けることができなくなることもあり、収入が途絶え、生活していくことも、ままならなくなってしまいます。

あまり知られていませんが、うつ病の場合でも、一定の要件を満たすと、障害年金を受給できるのです

離婚問題という過酷な状況に置かれている方に対して、少しでも金銭的な不安を解消できるように障害年金の仕組みについてもご説明いたします。

なお、障害年金が認められるかどうかは、症状の程度にもよりますし、申請自体は難しい部分もありますので、当事務所が提携する社会保険労務士をご紹介することも可能です。

 

熟年離婚

いわゆる熟年離婚は、過去に比べると相当数増加していると言われています。

特に、今まで、離婚に踏み切れなかった人の一番大きな原因は、離婚後の経済的な問題が大きいように思いますが、

この問題も年金分割の制度ができてからは、従来よりは解消されつつあります。

ただし、年金分割と言っても、必ずしも増額した年金だけで生活できるとは限りません。

今までよりも生活の質を下げなければならないこともあるでしょうし、自分で働いて収入を得ることも考えなければなりません。

もちろん、夫婦の共同の財産がある程度ある場合には、離婚の際に財産分与を受けたり、慰謝料を請求することによりある程度の財産を取得することも可能なケースがあります。

大切なことは、事前に経済的な意味での準備をしてから、具体的な行動に移すことです。

財産分与を受けるためには、どのような財産がどのくらいあるのか把握しておく必要がありますし、離婚の際にきちんと分与してもらう手続を取る必要があります。

また、年金分割も分割された場合にどの程度自分は年金をもらうことができるのかを把握しておく必要があります。

離婚後の生活を安心して送るためにも、離婚をする前に専門家にご相談されることをお勧めします。

 

離婚と住宅ローン

結婚している時に自宅を購入し、住宅ローンが残っている場合は、後々、いろいろなトラブルになるケースがあります。

住宅ローンは、①金額が大きいこと、②期間がかなり長いこと、③夫婦が共働きの場合は二人で働く前提の金額の返済をしている場合もあること、④夫婦の両方が「債務者」になっていたり、片方が「債務者」、もう一方が「連帯保証人」になっていたりすることから、離婚によりトラブルが生じやすいものといえます。

離婚による発生する住宅ローンの問題はいくつかありますが、①住宅をどうするのか、②残った借金を誰が払うのか、③税金の問題があります。

 

離婚後に住宅はどうするのか?

住宅ローンのない単なる財産として住宅をどちらかに分与する場合は問題がありませんが、住宅ローンが残っている場合は、①どちらかがそのまま住み続けるか、②家を売却するか、を決めなければなりません。

①どちらかが住み続ける場合は、理想的なのは、住宅に住む人が住宅ローンを支払い、住宅の名義もその人単独のものに変えることです。

現実に居住していない相手が住宅ローンの支払いをする場合、期間が長いため、途中で収入の減少や再婚等による出費の増加で支払いが滞ってしまうこともあります。

②家を売却する場合は、家の価値が残っている住宅ローンよりも高ければ問題はありませんが、多くの場合、住宅ローンの残額の方が不動産の価値よりも高く、借金が残ってしまい、それをどう処理するかが問題になります。

 

住宅ローンは誰が支払うのか?

住宅ローンの借入の際に、例えば夫が単独で借入をしたケースであれば、妻の方は支払う責任はありません。

しかし、多くの場合、住宅ローンは、「夫と妻が連帯債務者」であるか、「夫が債務者」、「妻が連帯保証人」であることが多いのです。

この場合、離婚の際に、「住宅ローンは夫がすべて支払う」という取り決めをすることはできますが、これはあくまでも「夫と妻」の間だけで通用する話です。

つまり、妻が連帯債務者や連帯保証人になっている場合は、借入先の銀行などが「夫のみを債務者にする」という合意をしてくれない限り、妻は法律上は支払義務が残ることになります。

長い期間の中には、夫の収入減少等の理由で、支払えなくなり、妻が支払わないといけなくなることもあります。

 

税金の問題

離婚する際の財産分与として、夫が妻に住宅の名義を書き換えることを合意した場合、相当な「財産分与」であれば、贈与税はかからないことがあります。

しかし、例えば、離婚後長期間経過し、住宅ローンを完済した時点で、妻名義に書き換えるという合意をしていても、「贈与」とみなされ、多額の贈与税を支払うことになる可能性があります。

医師・社長に特有の問題

離婚する際の財産分与は、基本的には婚姻期間に形成した財産の2分の1です(2分の1ルール)。

しかし、会社の社長や開業医のように、一般の人と比較して相当高額な収入を得ている場合にも、常に財産分与は2分の1かというと、そうではありません。

個人の特殊な能力や努力により高額の資産形成がなされた場合は、その事情がある程度考慮されることもあります。

 

調停離婚のポイント

調停は、第三者である調停委員(厳密には、調停委員会であり、そこには裁判官も入っています)に話を伝え、調停委員は両方からの話を聞いて、アドバイスをしてくれたり、過去の事例や法律からするとこのような解決になると提案してくれたり、場合によっては相手を説得してくれることもあります。
 

ですが、調停委員は他人ですから、あなたたち夫婦の実情をもともと知っているはずはありません。

両当事者が、調停委員に伝えないと、なぜ離婚したいと思うようになったのか(あるいはりこんしたくないと考えているのか)はわかってもらえません。

自分の言い分を的確に過不足なく伝えることは難しいものです。

ただし、口がうまい方が有利になって口べたな方が不利になるというのはおかしいですよね。


自分の言い分を調停委員にきちんと理解してもらうには、


・感情的にならないことをこころがけること。

・自分の意見や考えと、客観的に起きた事実はわけて伝えることを意識しましょう。

・緊張してしまうのは仕方がありません。はじめて行く裁判所で緊張しない人の方が珍しいかもしれません。できるだけリラックスすることを心がけましょう。

・緊張して、自分の言いたいことが伝えられないと思う人は、事前にメモを準備して、自分が言いたいことを書いてみましょう。

書くことによって、自分の考えがまとまったり、自分の一番言いたいことは何か、調停委員にわかって欲しいことは何か、が明確になることもあります。

メモを見ながら話をしても良いので、落ち着いて調停委員に伝えましょう。

・調停委員の話を最後まで聞くこと。

自分に不利な内容の話が出ると、頭に血が上って、それ以上話を聞かなくなってしまう人がいます。

調停委員の話は、あくまでその時点までに聞いた内容を前提に話をしているのですから、最後まで話を聞いた上で、事実と違うところは違うと伝えてください。

 

調停中の財産を守るには

調停を申し立ててから、解決するまで、最速でも3ヶ月、場合よっては1年くらいかかることもあります。

あなたが、財産分与を請求したり、慰謝料を請求している側で、相手が「支払いたくない」と考えている場合、調停をしている期間に財産を処分したりしてしまうことがあります。

現実に、財産はあったはずなのに、財産を隠されてしまったり、処分されてしまうと、調停が成立して、具体的な財産分与や慰謝料の金額が決まっても、受け取ることができなくなってしまうこともあります。

このような事態を防ぐには次のような方法があります。

 

調停前の仮の処分

相手が、財産を勝手に処分したりするおそれがある場合、調停委員会に対し、「調停前の仮の処分の申請書」を提出することができます。

申請書が提出された後、調停委員会が必要とみとめれば、調停期間中の財産処分が禁じられます。

しかし、財産処分が禁じられても、法的に不可能になるわけではないので、相手が財産処分をしてしまうことはできます。

10万円以下の過料という制裁があるだけです。

このように、この方法は実効性が低いためあまり利用されていません。

 

仮差押え・仮処分

相手の財産の処分を確実に防ぐ方法としては、裁判所に仮差押え・仮処分の申請をすることが考えられます。

仮差押えとは、金銭債権の執行を保全するために、裁判所の決定により、相手方の財産の処分に一定の制約を加える制度です。

仮処分とは、金銭債権以外の権利の保全を図るものです(例えば、自宅建物を財産分与としてほしいというときに、登記を移転することができないようにする処分です)。

いずれも、強制力を持つ点で有効ですが、①申立人がある程度の保証金を積まないといけないこと、②仮差し押さえの場合には、例えば銀行口座であれば、どこの銀行に口座があるかがわからないと難しいという問題があります。

 

審判離婚とは

(1)審判離婚とは

審判離婚とは、調停で合意に達しなかった場合に、家庭裁判所の審判で離婚を成立させる制度です。

審判離婚においても、審判が確定すれば、有効に離婚は成立します。しかし、審判に対しては、特に理由がなくても、審判から2週間以内に当事者は異議申立を行うことができます。

一方の当事者から異議申立がなされた場合、審判は無効となります。

したがって、離婚について 審判がなされるのは、極めて限られた場合のみとなります。

(2) 審判離婚がなされる具体的な例

・当事者双方が、内容については合意しているが、病気などの理由により、調停期日に裁判所に出頭することができないとき。


・当事者双方が、審判離婚を求めたとき

・ほとんど合意ができているが、財産分与の額など一部について意見の相違があるとき

 

有責配偶者とは

有責配偶者とは、離婚原因を一方的に作った人のことをいいます。

たとえば、自分が不倫して、女性(または男性)の交際相手ができて、その人と一緒に生活がしたいから離婚したいという請求は、裁判の場合は認められません。

協議離婚や調停の場合は認められます。

ですから、離婚を請求する方が有責配偶者の場合、条件をある程度、相手に合わせて、協議段階で話をまとめることが非常に重要となります。

もちろん、有責配偶者であるからと言って、一生離婚できないわけではありません。

しかし、有責配偶者からの離婚請求が裁判上認められるのは、

①別居期間が同居期間と比較して相当長い

②未成熟子がいない

③相手方が精神的、社会的、経済的に過酷な状態に置かれない

というような場合には有責配偶者からの離婚請求がみとめられます。

 

離婚協議書の重要性

協議で離婚の話について合意をした場合、市町村役場に離婚届を提出すれば、離婚自体は有効に成立します。

ところが、離婚時に問題となっているのは、離婚のみではなく、養育費の問題や慰謝料、財産分与等の問題があります。

これらの問題が無い場合は、よいのですが、ある場合は解決したと思っていた離婚問題が再度蒸し返され、せっかく協議で決まったのに結局調停や裁判をしないといけない事態になりかねません。

そこで、慰謝料や財産分与や養育費の問題は明確に「離婚協議書」を作成して、証拠として残しておくべきです。

とりわけ、養育費は、子どもが成人するまでの長い期間について問題となります。

離婚協議書は、自分たちで作成することも可能です。専門家に作成してもらう方が、法的な効力を期待できますので、ご相談されることをおすすめします。

離婚協議書作成のポイント

離婚協議書を作成する場合に、必ず記載した方がよいポイントは次のとおりです。

1 お金について

(1) お金を一時金として受け取る場合は、何について、いくらなのかを明示すること

財産分与として500万円、慰謝料として100万円、など

(2) お金を協議時に現金で受け取るのでない場合は、いつどのような方法でお金を渡してくれるのかを記載する

平成25年2月14日限り、○○円を○銀行○支店 普通口座○○○ 名義○の口座に送金する。

(3) 養育費は、1人あたりいくらなのか、いつまで(18歳まで、成人に達するまで、22歳までなど。厳密にはもう少し詳細に記載します)、どのような方法で支払うのか

(4) 財産分与として、自宅土地建物等を一方に名義変更する場合は、「自宅を分与する」というような抽象的な文言ではなく、

物件を特定した上で記載する必要があります。

2 子どもの問題

(1) 親権そのものは、離婚届に記載しますが、離婚協議書にも記載しておくべきです。

(2) 面接交渉は、いつ、どこで、どのようにするのかも記載しておきます。

宿泊を伴うのか、子どもの受け渡し場所は、連絡方法はどうするのか、月に1度か、2度かなど。

 

離婚協議書は公正証書で作成しましょう

離婚協議書そのものは、どのような書式で、手書きで書いても、ワープロで作成しても証拠としての価値はあります。

しかし、例えば、相手が養育費を支払わない場合、当事者が自分で作成した離婚協議書では、すぐに相手の給与を差し押さえるなどの強制執行ができません。

もちろん、相手が支払わなくなった後で、調停や裁判を起こせば、証拠はありますので、裁判所では認めてくれる可能性が高いといえます。

そのためには、時間も費用もかかってしまいます。

何より、一度解決したはずの問題をもう一度裁判所に持ち込んで蒸し返さないといけないこと自体が大きな負担となります。

そこで、離婚協議書作成の時点で、公正証書により作成することをおすすめします。

公正証書とは、公証人役場に行って、公証人の人証を受けた書類を言います。手数料はかかりますが、それでも作成した方が良いと言えます。


具体的には、公正証書を作成する場合には、「強制執行認諾約款」を入れてもらうことが重要になります。

この内容が公正証書に記載されていれば、調停や裁判をしなくても、すぐに強制執行手続に入ることができます。


公正証書を作成する場合は、合意書の他に、実印、印鑑証明、運転免許証等の身分証明書が必要となります。

 

離婚後の戸籍と姓

離婚すると、結婚の際に姓を変更した側の人は原則として、結婚前の姓に当然に戻ります。

離婚後の戸籍は別の戸籍を新たに作るか結婚前の戸籍に戻ることになります。

しかし、婚姻後の姓をそのまま名乗りたい場合は、離婚後、3ヶ月以内に届出をすることによって結婚した後の姓をそのまま名乗り続けることができます。


3ヶ月を経過した場合には、姓(氏)の変更の許可を求める申立を裁判所にすることができますが、この場合は「変更したい理由」が必要となり、簡単ではありません。

ですから、離婚後3ヶ月の期間内に、姓を元に戻すかそのままにするかは決めた方が良いと言えます。


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