公務員と離婚問題
公務員が離婚する場合、公務員特有の問題があるわけではありません。ただし、福島県や宮城県などにおいては、公務員の収入は、民間と比較しても高い水準にあると言え、また、公務員である事の特殊性から公務員の多くが直面する特に注意しなければならない問題の類型はいくつかあります。
まず、財産分与について
1 財産分与には,夫婦が婚姻期間中に共同で増加させた共有財産を清算するという清算的財産分与があり,これについては基本的に2分の1ずつの分与が基本となります。ただし、財産を保持している者の特殊な才能により特別に財産を増加させたというような場合は、分与の割合は変わることもあります。
2 次に、扶養的財産分与というものがあります。たとえば、夫が医師で妻が専業主婦をしていて、夫には多額の収入があるが、妻は簡単には仕事が見つからず、すぐには経済的に自立した生活を送ることが困難な場合もあります。そのような場合には、扶養的財産分与として、一定の財産分与が認められる可能性があります。
その内容は、一律にきまるものではなく、認められる場合であっても、婚姻期間、有責の有無・程度、夫婦の収入、年齢、子の養育、疾病・身体ないし精神障害等を考慮して判断されます。
3 すでに受領した退職金が、財産分与の対象となることは当然ですが、将来受け取る可能性のある退職金については、受領できる蓋然性がある場合は、財産分与の対象になることがあります。公務員の場合は、退職金制度が将来も存続する蓋然性があることが多いといえますので、財産分与の対象となり得ます。
4 公務員の場合は、組合や共済等が充実していますので、団体の生命保険等に加入していることがよくあります。また、生命保険以外にも積み立て等をしているケースもありますので、しっかりと財産関係を調査することが重要です。