調停中の財産を守るには
調停中の財産を守るには
調停を申し立ててから、解決するまで、最速でも3ヶ月、場合よっては1年くらいかかることもあります。
あなたが、財産分与を請求したり、慰謝料を請求している側で、相手が「支払いたくない」と考えている場合、調停をしている期間に財産を処分したりしてしまうことがあります。
現実に、財産はあったはずなのに、財産を隠されてしまったり、処分されてしまうと、調停が成立して、具体的な財産分与や慰謝料の金額が決まっても、受け取ることができなくなってしまうこともあります。
このような事態を防ぐには次のような方法があります。
調停前の仮の処分
相手が、財産を勝手に処分したりするおそれがある場合、調停委員会に対し、「調停前の仮の処分の申請書」を提出することができます。
申請書が提出された後、調停委員会が必要とみとめれば、調停期間中の財産処分が禁じられます。
しかし、財産処分が禁じられても、法的に不可能になるわけではないので、相手が財産処分をしてしまうことはできます。
10万円以下の過料という制裁があるだけです。
このように、この方法は実効性が低いためあまり利用されていません。
仮差押え・仮処分
相手の財産の処分を確実に防ぐ方法としては、裁判所に仮差押え・仮処分の申請をすることが考えられます。
仮差押えとは、金銭債権の執行を保全するために、裁判所の決定により、相手方の財産の処分に一定の制約を加える制度です。
仮処分とは、金銭債権以外の権利の保全を図るものです(例えば、自宅建物を財産分与としてほしいというときに、登記を移転することができないようにする処分です)。
いずれも、強制力を持つ点で有効ですが、①申立人がある程度の保証金を積まないといけないこと、②仮差し押さえの場合には、例えば銀行口座であれば、どこの銀行に口座があるかがわからないと難しいという問題があります。