Q.離婚はせずに、浮気相手に慰謝料請求はできる?

質問

 夫が浮気をしました。離婚の意思はなく、浮気相手に慰謝料を請求したいと考えているのですが、相手は元々夫婦が不仲であったのだから不貞にならないと言っています。浮気相手に対して請求はできないのでしょうか?

回答

 不仲であった、という程度であれば請求は可能です。
 不貞行為による慰謝料請求は、夫婦の間の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからこそ賠償義務が認められるもので、既に夫婦関係が破綻しているような場合には配偶者の保護すべき権利はないということになり、形式的に不倫といえるとしても、慰謝料請求は認められません。

 このような情報が広く知られるようになったことで、不貞相手が既に破綻していたのだから支払いをしない、という反論をすることが増えてきているようですが、ここでいう破綻という判断は相当に厳格なもので、単に不仲という程度で認められるものではなく、相当長期間の別居などあって初めて認められるものです。

 また、「破綻後に不貞があった」場合に賠償が否定されるのみですので、仮に請求時点で本当に関係が破綻していたとしても、不貞が破綻前に始まっている場合(たとえば、当該不貞相手との関係が発覚し夫婦関係が悪化し破綻に至った場合等が典型)には、当然に慰謝料請求が可能です。


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